DM性別逆転SS 7

降り立った二機の前で相対する二人の少年の内、片方は見覚えのあり過ぎる男だった。
思わずAAのクルーに混じってしまったけど、その時はあんまりびっくりしてたもんだから、撃たれるかもとか全然考えもしなかった。
二人が妙にぎこちない挨拶を交わした途端、オーブの姫様らしき少女が駆け寄って行き、泣きそうな声をあげながら二人に思いっきり抱きついていく。
それで少し空気が和んで、あたしは隣の背の高い男が訝しげにこっちを見ているのに気がついた。
拘束されるならそれも仕方ない。彼らはもと連合軍であたしはZAFTだから、信用できないと言われても当然なわけで。でもあたしの意思は変わらない。
真正面から見返してやろうと思ったその瞬間、紛れもなくあたしの名が呼ばれた。
「ディアッカ」
「ミリアリア!」
自分でも一瞬誰だと思うくらい嬉しそうな声だった。あたし、こんな声出せたんだ。
拘禁室にいる間に名乗ったけど、結局ミリアリアは一度もあたしの名前を呼んでくれなくて、実はかなりヘコんでた。だからほんっとに嬉しい。人目がなかったら踊ってたかもしれない。
ミリアリアは固い表情をしていて、多分頭の中は困惑でいっぱいだったと思う。
そりゃあね、逃がした筈の捕虜が戻ってきちゃったわけだから。
「ね、ミリアリア」
「……」
「おかえりって言ってくれない?」
ミリアリアはあたしの目をまっすぐ見据えて一言、言った。
「バカ」
そしてあたしに背を向けて艦の方へ歩き出す。
短い付き合いながら、らしいセリフだなーと、ちょっと余韻に浸っていたら。
じっと成り行きを見守ってたらしい、あたしの後ろにいた金髪の背の高い男がぷーっと吹き出した。
……あんたは以後ずっとおっさんよばわり決定。


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2005.7.28 イーヴン
2005.8.2 up