DM性別逆転SS 8

「お前……何でここに」
「それはあたしのセリフでもあるんだけど?」
生真面目そうな美形がちょっと怯んで言葉を呑んだ。
「あたしは2ヶ月AAの捕虜やってたのよ。あんたは? ストライク落としてエース扱いってんで、新型機貰ってきたわけ?」
「簡潔に言うとそういうことになるな」
「で、あたし達を助けてくれた?」
そう言うと、彼は陰気な顔を更に暗くしてあたしから目を逸らした。
……ていうかアスラン、あんたまさかこの期に及んでまだ迷ってんの!?
戦闘に介入するくらいならはっきりきっぱり意思決定くらいしときなさいよ!
あんたの登場のせいであたしのインパクト弱くなっちゃったんだからね!
内心の憤りを抑えつけ、あたしはことさら穏やかに告げた。
「いいんじゃないの」
「?」
「あたし達のしたことは、軍人としては間違ってるけど、人として間違ってはいないわよ」
アスランが驚いたように両目を大きく見開いてあたしを見た。
そりゃ驚くだろう。
あたし達はどう控えめに見ても仲が悪かったし、アスランを肯定するような事を言ったのは、あたしも初めてな気がする。
「……俺達は軍人だぞ」
あーったくもぉぉこの石頭優柔不断男っ! 親友と戦う羽目になってたあんたはあたし以上に戦争ってものの悲惨さとか無意味さとか分かってる筈でしょうが。
「そうね、まずいわね。でもあたしはもう決めたもの」
だからアスランも腹を決めて。あたし達と共に行くのか、それとも敵になるのか。
もう殆ど時間は残されてないんだから。
「改めて聞くが……ディアッカは何でここにいるんだ?」
はぐらかされた事には気付いてたんだ。あたしは晴れやかに笑ってみせた。

「ココにミリアリアがいるからよ」


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2005.7.28 イーヴン
2005.8.2 up